被差別部落の人権侵害投稿400件以上、削除要請の40%が未対応

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インターネット上では、被差別部落の地名や個人宅がさらされる投稿が絶えることがありません。法務省によると、ネット上で被差別部落などを示し、人権を侵害する事例は増加し続けており、同省は違法とされるものについてプロバイダーや接続業者に削除を要請してきました。しかし、その要請に対しては約40%のケースで対応がされておらず、実効的な対策が急務となっています。

特に、動画投稿サイトの「ユーチューブ」では、字幕とともに被差別部落とされる地区を歩き、個人宅などを映した多数の動画が公開されています。中には商店名や車のナンバーが映り込むものもあります。四国地方の50代の住民は、自身が住む地区の動画が視聴可能な状態にあることについて「ネットでさらすことが何の面白みがあるのか。絶対に許せません」と憤っています。

現在、要請は強制力を持っておらず、削除は事業者の判断に委ねられています。支援団体によると、事業者の規約では、性的画像を含む差別については削除対象となることが多い一方で、被差別部落について触れるものは少ないとのことです。同省の担当者は、「被差別部落問題は、日本に固有の歴史と経緯が関わっており、海外事業者などには理解されにくい面がある」と述べています。

自治体や民間団体も、部落差別解消推進法の施行を受けて独自の取り組みを進めています。鳥取県では市町村と連携して、「モニタリング」というネット上の投稿をチェックする活動を行っています。投稿が見つかった場合、事業者に削除を要請しています。部落解放同盟によれば、このような活動を行っている自治体や民間団体は全国で200以上存在しているとのことです。また、一般社団法人「山口県人権啓発センター」では、モニタリング活動のほか、被害者からの相談にも応じています。

兵庫県のある自治体は、過去に被差別部落を撮影した動画が投稿されたことを受けて、裁判所に削除を求める仮処分を申し立てました。裁判所は2021年に仮処分を決定し、サイト運営会社は動画を削除しました。自治体の担当者は、「今後も差別的な投稿があれば厳しく対処したい」と述べています。

被差別部落問題を研究する関西大学の内田龍史教授は、「被差別部落の投稿の削除が進まない背景には、法的な差別の定義が明確でないことや、表現の自由を軽視しているとの批判を招くことがあり、事業者が二の足を踏むことがあることがある。国は、地名をさらす行為が差別となる根拠を明確に示し、削除すべきであることを周知していく必要がある」と述べています。

法務省によると、昨年に法務局が扱ったネット上の人権侵害事案は1,721件で、5年前と比べて約20%減少しています。しかし、被差別部落など特定の地区を示す事案に限ると、過去10年で最も多い414件となり、約10倍に増加しています。

被差別部落の出身者や支援者からなる団体「ABDARC(アブダーク)」は昨年、グーグルに対して差別的な動画の削除を求める署名活動を開始しました。一部の投稿者による動画は削除されたと報告されています。しかし、ユーチューブでは他の投稿者による同様の動画が残り、他のサイトやSNSにも同様の投稿が絶えません。

ABDARCのメンバーである男性(44歳)は、「被害を訴える団体が増え、投稿が顕在化しているようです。最近では、隠語を使ったりと、酷い投稿も増えています」と訴えています。

2016年に施行された部落差別解消推進法では、国などに解消に向けた取り組みを求めています。法務省は2018年末以降、SNSの運営事業者や接続業者に対して、差別の目的の有無に関わらず、特定の地区を被差別部落と示す投稿について削除を要請してきました。20年から22年にかけての削除要請は合計458件でしたが、応じたのは295件の64%に過ぎませんでした。この削除率は、性的画像などの削除率の82%に比べて低いです。

被差別部落とは

被差別部落(ひさべつぶらく)とは、日本に存在する人々が差別的な扱いを受けてきた地域や集団のことを指す。歴史的には、特定の職業に従事する人々や宗教的な背景を持つ人々が、社会的な排斥や差別を受けることが一般的であった。被差別部落に属する人々は、その身分や出自によって不平等な待遇を受け、教育や雇用、結婚などの機会を制限されることが多かった。特に、部落差別として知られる被差別部落の一つには、旧日本の「部落民」と呼ばれる人々がいた。部落民は、武士や農民、商人などの身分制度には含まれず、社会的に独立した存在とされていた。彼らは、死体の処理や清掃などの汚れた仕事を担当することが多く、そのために他の階層からは忌避される存在とされてきた。また、部落民は宗教的な差別も受け、神職や寺院への参拝が許されないなど、宗教的な活動にも制約があった。近代に入り、人権意識の高まりや法律の改正により、被差別部落の差別的な扱いは軽減されてきた。しかし、依然として部落差別は社会問題として存在し、被差別部落に住む人々が不平等な待遇を受けることがある。この問題に対しては、啓発活動や法的な取り組みが行われており、差別の撤廃と社会の包摂的な発展を目指して取り組まれている。被差別部落とは、長い歴史の中で形成された社会的な格差や差別の現れである。その問題を解決するためには、教育や就労機会の平等化、偏見や差別意識の根絶、被差別部落への理解と共生が必要である。被差別部落の人々が差別から解放され、社会の一員として平等な権利と尊厳を享受できるよう、持続的な取り組みが求められている。

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